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☆☆☆(6点/10点満点中) 1969年日本映画 監督・森一生 ネタバレあり 新東宝製作の「お岩さん」映画の決定版「東海道四谷怪談」を観たばかりだと言うのに、今度は大映版を観ることと相成った。急に「四谷怪談」ファンになったわけではなく、偶然でござる。 お話の骨格は勿論鶴屋南北の原作や前述作と変わらないが、異同は結構多いので、主だったところを指摘しておきましょう。 新東宝版では、主人公の伊右衛門はお岩をものにしたくてその父親を斬るが、こちらは原作通りに結婚してから。備前であった出身も信州になっている。 一番違うのが小悪党・直助の扱いで、今回(小林昭二)は伊右衛門をたきつけたり、毒薬を調達したりしない。毒薬を調達するのはお梅の父親たる商人伊勢屋で、按摩の宅悦(沢村宗之助)は殺される代わりに伊右衛門の片棒を担ぐことになる。殺されて戸板に打ちつけられるのはその弟子、といった具合。 勿論見せ場はお岩の髪梳き場や亡霊が出没して錯乱した伊右衛門が伊勢屋の一族郎党を皆殺しにしてしまう場面だが、森一生の演出は恐怖の醸成において「東海道四谷怪談」の中川信夫に大分及ばない。お岩(稲野和子)のメイクアップに雑な感じがあったり、伊右衛門に扮する佐藤慶に凄絶な色気が足りなかったりするのである。 ただ、日常的場面に関して言えば、殊に映像を楽しむ限りにおいては、絵作りがスタイリッシュでそこはかとなく美しく、内容にふさわしくねっとりした印象を伴っているので、こちらのほうが面白いくらい。森一生はカラーのほうが特徴がよく出る監督と思う。 |
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