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<<   作成日時 : 2008/07/03 16:07   >>

トラックバック 7 / コメント 4

☆☆☆(6点/10点満点中)
2006年アメリカ映画 監督スティーヴン・ザイリアン
ネタバレあり

ピュリツァー賞を受賞したロバート・ベン・ウォーレンの小説を映画化し、1949年最大の話題作になったロバート・ロッセン監督の同名映画のリメイク。

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小学校校舎建築における不正を指摘した為に追放された元出納官ウィリー・スターク(ショーン・ペン)が、その後校舎の階段が崩れ落ちるという事故を若い記者ジャック・バーデン(ジュード・ロー)が記事にしたことで一躍注目の的になり、知事選に駆り出されるが、あて馬として利用されたことを知って怒り心頭に達し、でたとこ勝負の庶民寄りアジテーションが効を奏して勝利する。
 5年後には大統領選の噂も出るほどの大物になるが、大手石油企業から奪い取った税金を着服しているといった噂が出始め、ジャックの名付け親であるアーウィン判事(アンソニー・ホプキンズ)が弾劾側に回ると、今や右腕になったジャックに判事の過去を洗わせる。

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聞くところによると原作にかなり忠実な映画化ということだが、もしそうならオリジナルの脚色は相当優れていることになる。本作は下記の理由で焦点がかなりぼけているからである。

清廉を目指した政治家がいつか汚職とスキャンダルにまみれるというお話の根幹は全く変わらないように見えるが、ジャックの映画における立場が全く異なり、彼の視点で語られるのは同じでも、本作では彼の個人的な事情を中心に構成されている。その為オリジナルに比べるとバランスが記者側にぐっと傾き、弾劾の行先を握る判事を巡ってパワー・ゲーム的な要素を加え、しかも判事とジャックの意外な関係までも判明するメロドラマ的な扱いまであり、ジャックはもはや政界の傍観者というより種々の体験をする主人公と言うしかない。
 さらに肉体関係のなかったかつての恋人アン(ケイト・ウィンスレット)と接触するうちに苦い過去を思い出す部分もあり、こうなるとスタークは半ばだしみたいなもので、ジャックを主人公にした人間ドラマになっている。それは良いとして、社会の裏側を知った青年の立場は依然曖昧でピンと来ず、米国で余り評価されなかったのも無理はない。

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とは言うものの、さすがに本来の主題(政治の汚濁)に未練があることが伺われるが、作劇上のバランスをいじった(原作通りに戻した?)為にあらぬ結果を招いている。オリジナルでは知事になるまでスタークが相当苦労するのに対し、こちらはその部分を全く端折っているのでスタート時点の清廉潔白さがはっきりしないし、知事になった後の彼の汚濁ぶりも具体性が足りず明瞭に見えて来ないのである。
 従って、アンの兄で幼馴染のアダム(マーク・ルファロー)が利用されただけと知って絶望の末に引き起こす悲劇がスタークの汚濁ぶりを無理やり印象付けようと繰り出しただけという印象を伴う。これではアダムに裏側を知らせたのは誰なのかとダークさを漂わす幕切れもはったりの域を出ない。

と色々不満があるものの、人物の出し入れに面白い部分があるので、★一つ分おまけ。

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トラックバック(7件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
オール・ザ・キングスメン
判事にも何か後ろめたいことがあるはずだ!・・・そう、人肉喰ってます・・・ ...続きを見る
ネタバレ映画館
2008/07/03 20:21
『オール・ザ・キングスメン』
(原題:ALL THE KING′S MEN) ...続きを見る
ラムの大通り
2008/07/03 21:32
★「オール・ザ・キングスメン」
(2007/A72/S40)←今年劇場鑑賞40本目。 今週の平日休みは「TOHOシネマズ川崎」で2本いや3本。 1本目の作品に短編アニメが同時上映されてたから。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2008/07/04 00:43
オール・ザ・キングスメン(映画館)
善は、悪からも生まれる。 ...続きを見る
ひるめし。
2008/07/04 10:52
オール・ザ・キングスメン
All the King's Men (2006年) 監督:スティーブ・ザイリアン 出演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンス 1949年のアカデミー作品賞を取った同名映画のリメイクで、政治の不正を正すべく知事になった男の行末を彼の側近になった元記者の視点で描く。 オリジナルを観たことはないので、このリメイクがどの程度似せて作られているのかはわからない。 汚職を批判していた男が権力を握ったとたんに自らも汚職に手を染めるようになるという人間の欲深さや弱さを描いた作品かと思ってい... ...続きを見る
Movies 1-800
2008/07/04 21:51
オール・ザ・キングス・メン
豪華俳優陣と映画界をリードするスタッフによる骨太な人間ドラマ ...続きを見る
シャーロットの涙
2008/07/07 22:26
<オール・ザ・キングスメン> 
2006年 アメリカ 128分 原題 All the King's Men 監督 スティーヴン・ザイリアン 原作 ロバート・ペン・ウォーレン「すべて王の臣」 脚本 スティーヴン・ザイリアン 撮影 パヴェウ・エデルマン 音楽 ジェームズ・ホーナー 出演 ショーン・ペン  ジュード・ロウ  アンソニー・ホプキンス  パトリシア・クラークソン    ジェームズ・ギャンドルフィーニ  ケイト・ウィンスレット  マーク・ラファロ 1920年代〜30年代にかけて活躍した実在の政... ...続きを見る
楽蜻庵別館
2008/07/08 22:17

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
オリジナルのブロデリック・クロフォードの
存在感あり〜〜の印象があまりにも強くて
S・ペンがただダミ声ばっか上げている
チンピラ政治家に見えちゃって・・・

完全にJ・ロウ扮するどっちつかずの
ジャック・バーデンのお話になっちゃって
まして、ウィンスレット、ラファロ、弱過ぎ。
「戦場のピアニスト」「Ray」の
P・エデルマンのカメラもどうしたものか
ぜんぜん奥行きと深みに欠けるし〜
ジュードのナレーションは垂れ流しだし。(--)

最後は流れる血のドッキングで終わりましたが
R・ロッセン脚本の「呪いの血」(未)、
DVDでは「異常な愛」というタイトルに。
これK・ダグラスのデビュー作でね、
B・スタンウィックがまたまた悪女、
V・ヘフリンが渋い役どころでね〜。
けっこう面白い映画でしたの。
プロフェッサー、観ました?
viva jiji
URL
2008/07/03 16:45
viva jijiさん、こんばんは。

俳優の話は置くとしても、本当に原作に忠実なんだろうかと思ってしまいますね。
あの時代であれば、汚れた政治家はテーマらしいテーマだったはずで、青年記者の心理的人間ドラマに仕立ててあるとは思わないんだけどなあ。
やはりザイリアンが換骨奪胎して主題を入れ替えたように思わずにはいられないですね。

最後の血のドッキングも何かの暗喩かとない頭をひねったものの、良く解りません。

>呪いの血
うんにゃ、観ておりませぬ。
ジュディス・アンダースンとリザベス・スコットと脇役も面白そうな顔ぶれですねえ。しかも、若干力が衰えつつあった頃の作品とは言えご贔屓ルイス・マイルストンの監督じゃありませんか。
情報によればTV放映もあったとな。どうして見逃したんだろう?

マイルストンと言えば、今「フロント・ページ」を放送しています(現在録画中)。ご存じでしょうが、そのオリジナルがマイルストンの傑作「犯罪都市」。
オカピー
2008/07/04 01:51
こんばんは。
登場人物の多い話を2時間程の枠に収めるのは難しいということがよくわかる映画だったように思います。
hash
URL
2008/07/04 21:56
hashさん、こんばんは!

>登場人物の多い話を2時間程の枠に収めるのは難しい

告発的な要素より、記者を主人公に多彩な群像劇風な人間ドラマにしようという色気が出て、どっちつかずになったのが失敗じゃないかなあ。
オリジナルも主人公の立場は曖昧でしたが、本作の場合は彼が事実上の主人公だからそれでは困りまする。

原作に忠実と聞いたけれど、それなら原作は映画向きではない。オリジナルの改編の方が正解ということになります。
オカピー
2008/07/04 23:58

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