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help リーダーに追加 RSS 映画評「街のあかり」

<<   作成日時 : 2008/07/28 14:54   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 13 / コメント 10

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2006年フィンランド映画 監督アキ・カウリスマキ
ネタバレあり

「街のあかり」と聞けば、歌謡曲ファンは堺正章のヒット曲を(場合によってはいしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」かもしれない)、映画ファンはチャップリンの名作を思い浮かべるであろう。僕は両方に思いを馳せたが、どちらも正確には「街の灯」である。
 さて、アキ・カウリスマキとしては僕が大いに感心した「浮き雲」「過去のない男」に続く【敗者三部作】の最後を飾る作品だそうである。「罪と罰」でデビューしたカウリスマキだけに「白痴」の香りもする。

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友人も恋人もなく孤独を抱えるしがない夜警の男コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は警備会社を起業して世間を見返したいと思うが、銀行からは当然の如く融資を断られる。
 ある時金髪美人ミルヤ(マリア・ヤンヴェンヘルミ)に声を掛けられ人生に希望が射したように見えたの束の間、彼女がマフィアのボスの情婦と知らずビルを一緒に回っているうちに暗証番号を盗まれ、後日強盗を手引きした共謀罪で逮捕されてしまう。
 出所した後ミルヤの店から出てきたボスを刺そうとして子分たちに半殺しの目に遭うが、そんな時小さなホットドック店を営んでいるアイラ(マリア・ヘイスカネン)が優しく手を握ると彼は握り返す。密かに彼に懸想していた彼女の思いはやっと彼に届く。

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カウリスマキはこの幕切れでチャップリンの「街の灯」で浮浪者チャップリンと娘が手を重ね合うラストへオマージュを捧げた。原題の直訳は「黄昏時の灯」であるが、カウリスマキの意図を知った配給会社の担当者がこの邦題にしたのであろう。

カウリスマキ映画の登場人物は踏んだり蹴ったりの目に遭っても強く抵抗もしなければ大きく表情も変えない。フィン語なのでよくは解らないがセリフも感情が入っていないように感じる。演技について碌に解っているとも思えないのに何かと「棒読み」などと一元的に演技批判をする映画ファンが増えているが、彼らはカウリスマキの映画を観たら何と言うだろうか。

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それはともかく、カウリスマキは僕同様に彼も尊敬するらしい監督ロベール・ブレッソンに似て一切の夾雑物を排除する。表情の少なさもその一環であるし、セリフも極小、一つのショットに同時に収まる人の数も一般作より明らかに少ない。多大な影響を受けた小津安二郎同様大部分が固定ショットであり、その結果生まれ出るのは本来であれば冷徹さであるはずである。
 ところが、寄りの映像の巧みな挿入やフェイドアウトでの間の持たせ方、音楽の使い方により得も言われぬ温かみが生まれる。それが最も発揮されるのが幕切れの手のアップであり、そこに物語の展開だけでは表現し得ない、工まざる演出の効果があるのである。

最後になっても二人は「あたい、あんたにコイスティネン(恋してるねん)」「アイラ(あら)まあ」と言わなかった。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
mini review 08277「街のあかり」★★★★★★★★☆☆
『浮き雲』で人間賛歌を、『過去のない男』で再生のドラマを語ったフィンランドの名匠アキ・カウリスマキの“敗者三部作・最終章”。人間性の回復をテーマに、街の片隅で生きる男の生き様が描かれる。『過去のない男』や『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』のカウリスマキ監督編にも出演したヤンネ・フーティアイネンが孤独な主人公を好演。チャップリンの名作『街の灯』へのオマージュも込められた、感動的なヒューマンドラマに仕上がっている。[もっと詳 ...続きを見る
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2008/07/29 01:22
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アキ・カウリスマキ作品って私の「ツボ」にはまるテイストなんだ。 LAITAKAUPUNGIN VALOT LIGHTS IN THE DUSK 2006年/フィンランド・ドイツ・フランス/ 78分 at:梅田ガーデンシネマ台風がくるというのに、その中を観にいってきました。 雨が嫌いで悲しくなる我が家の犬。「ぼく、怖いの」って顔で、呼んでもすごすごとうなだれるし、ワイヤーから視線そらせて隅っこに行ってこっちにこないんです。でもこの日は案外おとなしくワイヤーにもつながれましたから、台風も... ...続きを見る
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アキ・カウリスマキ作品の中でとりわけ好きな、愛すべき作品たち ...続きを見る
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2008/07/29 10:48
<街のあかり> 
2006年 フィンランド・ドイツ・フランス 78分  原題 Laitakaupungin valot 監督 アキ・カウリスマキ 製作 アキ・カウリスマキ 脚本 アキ・カウリスマキ 撮影 ティモ・サルミネン 音楽 メルローズ 出演 ヤンネ・フーティアイネン  マリア・ヤンヴェンヘルミ  マリア・ヘイスカネン    イルッカ・コイヴラ  ヨーナス・タポラ  カティ・オウティネン ヘルシンキで警備会社の夜警をしているコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、真面目な... ...続きを見る
楽蜻庵別館
2008/08/24 01:51
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あらすじフィンランドのヘルシンキに、ひとりの男が静かに生きていた。友人はいなかった。愛する人もいなかった。見守る家族もいなかった。文字どおりひとりぼっちの世界を生きていた。ソーセージ屋を営む女だけが彼を見つめていたのにその店のあかりは彼の眼には入らなか... ...続きを見る
虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...
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映画「街のあかり」
監督:アキ・カウリスマキ(その作風、大好きです) 出演:ヤンネ・フーティアイネン マリア・ヤルヴェンヘルミ イルッカ・コイヴラ  出演:マリア・ヘイスカネン ペルッティ・スヴェホルム カティ・オウティネン  ...続きを見る
おそらく見聞録
2009/11/17 11:55
『街のあかり』
これも公開時気になって見逃していたのでDVD鑑賞。 ...続きを見る
・*・ etoile ・*・
2009/11/23 03:17

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとう。
そうか、今回は浪速の感覚で、締めましたね(笑)
やっぱり、この監督からは、目が離せませんね。
kimion20002000
URL
2008/07/28 15:41
kimion20002000さん、こんばんは!

>浪速の感覚
堺正章に始まり、庶民間隔を前面に出してみました。^^

現在活躍している監督ではジム・ジャームッシュと間の取り方などが似ていると思いますが、二人が共通して尊敬するのが小津安二郎ですね。
僕は「小津恐るべし」と思っているんです(笑)。
オカピー
2008/07/28 23:04
P様、おはようございます。
昨日アップされたたんですね。気がつかなくって失礼しました。
「ボルベール」が8点で、本作が7点かって思ったけれど、カウリスマキについてはそんなこと関係ないわ、私には。
シュエットはアキ・カウリスマキ的演歌の世界と称しております。
こうしてブログ初めていろんな映画のかんそうあげているうちにだんだんと自分の好きな傾向って見えてきますね。ジャン・ヴィゴ、ブレッソンン、カウリスマキ、ジャームッシュ…そろそろ「小津」にいかないとなって思ってます。
こちらにもTBもってきますね。それと私がカウリスマキの作品で一番好きな「白い花びら」の感想をあげている記事もTBさせてくださいね。この作品は内面描写に台詞は不要だと、サイレント仕立ての作品で、テーマ曲も含めて、なんか好きなんですよね。
シュエット
2008/07/29 10:42
いい忘れた。
私も先日WOWOWで「街のあかり」「過去のない男」「浮き雲」続けて3本観ました。やっぱ、いいよな!カウリスマキって、私のツボにはまります!
シュエット
2008/07/29 10:46
何度もすみません。
ちらっと書かれてある「罪と罰」もTBさせてくださいね。
アキ・カウリスマキとなると涎がでるもので…(笑)
シュエット
2008/07/29 10:50
シュエットさん、こんばんは!

>「ボルベール」が8点で、本作が7点かって
採点する上で僕は「良い映画」より「上手い映画」を重視するので、どうしてもきちんと練り上げて(娯楽的に)上手い見せ方をした「ボルベール」のほうが上になりますね。好き嫌いとは必ずしも一致しません。本作は「良い映画」タイプです。
また、8点にした「浮き雲」「過去のない男」より多少手ごたえが薄かったという理由もあります。

>そろそろ「小津」
できれば戦前のサイレント「浮草物語」はご覧ください。同じくサイレント「生まれてはきたけれど」の絶品な風刺人情劇ぶり。
「東京物語」は個人的には好き。亡き祖父を思い出させるから。
芸術的には「晩春」「麦秋」かな。

>一番好きな「白い花びら」
サイレント映画でしたね。カラー時代にモノクロで撮る監督は少なからずいましたが、この時代にサイレントはびっくりしました。
僕はやはり「過去のない男」です。このやや通俗的な人情味に惹かれました。
オカピー
2008/07/29 14:37
Pさま、小津作品ありがとうございます。このあたりから小津開眼に迫りたいと思います。
>8点にした「浮き雲」「過去のない男」より多少手ごたえが薄かったという理由もあります。
同感です。カウリスマキは当分、映画は撮らないんではないかなって気がする。作品が優しくなりすぎてきている。コミュニストだって社会に抵抗していた若者も心優しき老人となって、彼自身のなかでジレンマがおきているような…。
シュエット
2008/07/29 15:32
シュエットさん、こんばんは。

訂正です。
「生まれてはみたけれど」でした。^^;

>映画は撮らないんではないかなって気がする。
僕の鈍感頭ではそこまでは解らないですが。

>社会に抵抗していた若者も心優しき老人となって
団塊の世代がまさにその状態にありますね。
僕の上司だった人も学生時代に相当暴れた口です。
オカピー
2008/07/30 02:02
パソコンの前で大いにズッコケました。

オカピーさん…最後の一文で映画評が頭から吹っ飛びましたよ(笑)
オカピーさんのそんなところが、わりと好きな私です。

カカト
2008/11/12 21:27
カカトさん、こんばんは。

映画評が吹っ飛んでもらっては困るのですが(笑)、
全体が硬い印象なので、ない頭をひねって
色々と努力しているのですよ。

今後ともご贔屓の程お願い申し上げます。<(_ _)>
オカピー
2008/11/13 02:57

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