プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 映画評「突破口!」

<<   作成日時 : 2008/04/21 16:24   >>

トラックバック 1 / コメント 2

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督ドン・シーゲル
ネタバレあり

サブウェイ・パニック」をWOWOWで久しぶりに見たばかりだというのに、今度はNHK−BS2でウォルター・マッソー主演の犯罪サスペンスが続いた。どちらも誰でも知っている有名作ではないものの甲乙つけがたいサスペンスの秀作なので、全く嬉しい限り。

画像

曲芸飛行から農薬散布に職替えしたもののどうにも物足りない中年飛行士マッソーが妻ジャクリーン・スコットや若者アンディー・ロビンスンら二人の男たちと共に田舎の銀行支店を襲い、妻と共犯者一人を失っただけでなく、予想外に75万ドルもの大金があった為にうろたえる。ロンダリング前のマフィアの隠し金に違いないからである。

最初の見せ場は強盗場面とそれに引き続く地味なカー・アクションで、「ダーティハリー」で実力を遺憾なく発揮したドン・シーゲルが歯切れ良くパンチのあるアクションを見せる。最近の作品の華美なだけで腰のないへなちょこ描写とは全然違う。痺れるねえ。

画像

ドライバーだった妻が撃たれて死に、彼女を乗せたまま車を爆破する時のドライな処理が見事だが、この直前に見せる主人公のかすかな愛情が良い。
 どんな場合においても主人公は極めて冷静沈着で、若者に「慎重すぎる」と批判されるくらい用意周到なのだが、そこに彼のずば抜けた才能があり、若者に隠れ場所のトレーラーハウスから出ないように執拗に指示するのも、マフィアの魔の手の迫ることを半ば予想したことであり、妻の歯形の残っている歯医者に忍び込んでカルテを奪うついでに自分とロビンスンのカルテを交換、本物のカルテを始末してしまうのも後で役に立つ。
 案の定探偵宜しく探りまわるマフィアの殺し屋ジョー・ドン・ベイカーは若者を殺す。マッソーは追い詰められたふりをしてマフィアと通じている銀行頭取と連絡を取り、お金を返したいと申し出る。マフィアの行動を読んだ陽動作戦だ。

画像

具体的には観て貰うのが一番だが、終盤彼の操縦する複葉機とベイカーの車での一騎打ちを見ていると思わず童心に帰るというもの。

快調ではあるがスピードで勝負する作品ではない。曲芸飛行野郎が人生でも曲芸を演ずることになるという皮肉が浮かび上がる厚みと粘りのある描写が身上で、なおかつ娯楽映画的に面白いのだから言うことはありません。マッソーのようなとぼけた個性を得ずにはなかなか作れない味わいの一編と言うべし。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
突破口!
(1973/ドン・シーゲル製作・監督/ウォルター・マッソー、ジョー・ドン・ベイカー、アンディ・ロビンソン、ジョン・ヴァーノン、ジャクリーン・スコット、ノーマン・フェル、シェリー・ノース、フェリシア・ファー/111分) ...続きを見る
テアトル十瑠
2008/04/28 07:13

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「サブウェイ・パニック」もコレも観たかどうか記憶が定かではないんです。ワクワクする程じゃないんですが、渋くて良いですよね。

多分オカピーさんは書き漏らされたのでしょうが、ラストシーンは「北北西に進路をとれ」へのオマージュでしたね。
十瑠
URL
2008/04/24 14:13
十瑠さん、こんばんは!

おおっ、トラックバック0コメント0回避できました。
どうも有難うございます。

>サブウェイ・パニック
ニューシネマ時代の作品だからロケ中心でライティングも自然光的、40~50年代のセミ・ドキュメンタリー映画のようでした。
こちら「突破口!」も同様で、ハリウッド映画はまたニューシネマ以前のスタイルに戻った感が強いですね。

>北北西に進路をとれ
洩らしたというわけでもないです。
「007/ロシアより愛をこめて」でそれこそそっくりな場面を見てしまった後なので、強く感じなかったのかな。^^;
オカピー
2008/04/25 01:26

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文