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zoom RSS 映画評「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」

<<   作成日時 : 2007/12/28 14:57   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1967年日本映画 監督・湯浅憲明
ネタバレあり

昭和ガメラシリーズ第3作は、監督が再び湯浅憲明になり、これ以降第8作(最終作)まで全作を担当することになる。
 主題歌を挿入し子供を中心に据えたことから解るように方向性が大分変って、まだ本能的行動という要素を残しているものの事実上ガメラを人類の味方として扱っている。

日本縦断高速道路の用地買収を巡り公団と村民が争っている富士山近くの山村、一連の火山噴火及びガメラの活動を調査中のヘリコプターが謎の光線によりスパッと切られて爆破する事件が起きる。村長の孫・阿倍尚之君が記者を連れて山に入った時落石があり、翼竜風の怪獣が現れて記者を呑み込む一方で、ガメラが少年を助ける。

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ここでガメラと子供の協力態勢で進むという本作のムードが決定されているのだが、少年は怪獣を鳴き声からギャオスと名付ける。
 ギャオスの超音波メス光線の切れ味は凄まじく、それは音叉の原理によるという説明はかなり科学的。その音叉を構成する為に頚椎が二本構造になっているので後ろを向けない弱点があるというのはなかなか生物学的に面白い設定だが、ギャオスが紫外線に弱くて夜行性であるという部分は説得力が薄い。何故なら少年たちが襲われた時はまだ薄暮だったはずであり、脚本の高橋二三が前作同様そそっかしさを発揮したと言うべし。

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さて、人類は人工の血で誘き寄せたギャオスを回転させて平衡感覚を狂わせ夜明けまで飛び立たせないようにする回転作戦を遂行するが失敗。そして、しぶって土地の値段を釣り上げようとしていた村長・上田吉二郎が反省して自らの山林に放火してギャオスを焼こうとしても抜群の消化能力により凌がれてしまう一方、思惑通りにガメラが誘き出され、遂に三度目の対決が始まる。

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今回人類が繰り出す作戦は第一作並みに貧弱化したものの、人間の描写自体は過去二作よりかなり自然になっている。子供のアイデアが作戦になるのは戴けないが、権威者や作戦指揮者の言動が一般人に対して今までほど受動的ではなく大分それらしくなっているのである。怪獣映画とは言え、人間サイドの扱いが可笑しいと作品全体が台無しになることは、論を待つまでもない。

ドラマ上の主役は公団の現場指揮者・本郷功次郎だが、今回作戦面での活躍は最小限。彼の部下の二人がコメディリリーフになっているのも方向性の転換を物語る。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんばんは!
 おこちゃま向きになってしまったのを象徴するシーンが例の「ギャオス」命名シーンでしょうね
 国防会議の中にガキが入ってきて、モンスターに命名してしまい、さらに情けないことに「昼間はギャオスは襲ってこないよ!」と指摘されるバカな軍人には引っくり返りそうになります。
 突っ込みどころ満載で笑えます。ギャオスのフォルム自体は素晴らしいものがありますし、設定も良いのですけど、なんかおかしいなあ…と感じる映画でした。ではまた!
用心棒
2007/12/31 01:20
用心棒さん、こんばんは!

仰るところはよく解るのですが、前半4作では一番気に入ったですね。
あれがせめて子供の発言でなければ、権威者たちが大分それらしくなってきただけにもう少し観られた作品になったかもですね。

しかし、脚本の高橋二三という方は相当そそかしいですね、前回の水と言い、今回の光と言い、怪獣の登場場面はいずれもその弱点に相当する場面ですからね。
オカピー
2007/12/31 03:29
ギャオスは「紫外線(UV)によって肉体を破壊される」とされています。
そして少年はギャオスは「おやつ前には出ない」と言っています。「昼間は」ではないのは薄暮時の登場や日の出後に名古屋から山梨まで戻っていることを書き手が意識しているからでしょう。

これはあの程度のUVはギャオスの許容範囲内ということです。
「あの程度」と言うには理由があります。

1.朝夕は明るい割にUVが弱い。
2.人物の服装など、季節は秋から冬の間に見える。年間で最もUVの弱い時期に近い。
3.物語の舞台はUVの強い低緯度地域ではない。
これらはUVが強くなる条件を意図的に避けているように見えます。
(参考:http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/uvhp/3-45uvindex_mini.html)

加えて、失った足先が再び生えるという描写がギャオスの高い再生能力を示しています。

なお、夕方と違って早朝では急速に頭頂部が赤くなったのは
UVの量よりもそれが増加しているのを危険として感知しているのだと推測しています。
jadow81
2009/07/19 11:38
用心棒さんへ

『国防会議の中にガキが入ってきて、モンスターに命名してしまい』

私もこの種の子供の使い方は嫌いですし、
『突っ込みどころ満載』であるのも同感ですが。
あの場面に限って言えば、国防会議というより現場の状況把握のようなもので、
目撃者から情報収集するのは当然ですから、
あの子供が保護者同伴であの場にいてもおかしくはないと思います。
ゴジラ第一作で大戸島の少年が国会で証言しているのと同様です。
(後の方で一人で勝手に入ってくるのはまずいですが。)

命名についても「怪獣」と言う度に「ギャオスだよ!」と言われては鬱陶しいし、まあいいか、といった感じで軍人も苦笑しながら成行きで「ギャオス」と言い直していたので、私にとっては笑ってすませられる範囲でした。
いずれ名前は必要だし、新種の命名権は第一発見者にあるものですから。
jadow81
2009/07/19 11:54
jadow81さん、こんばんは。

科学的には仰る通りなんでしょう。
しかし、一般の観客は見た目でしか判断しないのですよ。
だから、薄暮というよりは殆ど昼間に近い印象のある時間帯に登場させるのは視覚的にダメで、初めて観る一般的児童が、まして40年前の紫外線の概念など希薄だった時代の児童が、そんな科学的条件に一々納得しながら観ているなど到底考えられない。大人の僕でさえ考えずに観ているのですから。
児童向け映画はもっと単純に観ましょうよ。

因みに、Imdbでの評価はガメラ映画中最低の10点満点中の2.7。大愚作という扱い。これには僕は5点とかなり高得点を付けた僕もびっくりでした。
オカピー
2009/07/20 20:51
オカピーさんへ

これを見たのは今回が4回目くらい、前回はやはり20年程前でしょう。
幼少時に映画館で見た記憶のある最も古い映画の一本です。

『児童が、そんな科学的条件に一々納得しながら観ているなど到底考えられない。』
当然です。
しかし、そもそも登場場面が明るいことを気にする児童がどれだけいるでしょうか?
批判の立ち位置が「児童が見てどうか」なのか「大人が見てどうか」なのか一貫していないようです。

『児童向け映画はもっと単純に観ましょうよ。』
これは個人の好みですから。辻褄合せが好きな人間もいるということです。

とは言うものの、私の反論は「そういう見方もありうる」というだけで、
列挙した条件も単なる偶然の可能性は否定できません。
オカピーさんの解釈の方が普通だろうと私も思いますし、
私の解釈どうりならそれを表す手段はあったはずです。
その意味で私の「評価」も特に高くはありません。
(しかし「好きな」作品ではあります。)

ところでギャオスが日の出後に洞窟まで帰るのも「ミス」とお考えですか?
それとも頭部が赤くなっているのでOKですか?
jadow81
2009/07/21 21:08
jadow81さん、こんばんは。

>批判の立ち位置
評価自体はあくまで今の自分です。
ただ、40年前の自分なら、その明るさをもっと強く感じたのではないかな。こう見えて、左脳人間ですからね。

>辻褄合せが好きな人間
そういうのも映画を見る楽しみの一つですからね、
宜しいのではないでしょうか。

>ギャオスが日の出後に洞窟まで帰るのも
問題ないでしょう。
jadow81さんの科学的説明には「バルゴン」を含めて相当納得していたんです。

僕もこの作品は好きですよ(評価と好悪が別という考えも同感)。
オカピー
2009/07/21 21:42

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