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zoom RSS 映画評「日本沈没」(1973年版)

<<   作成日時 : 2007/07/06 14:21   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年日本映画 監督・森谷司郎
ネタバレあり

先日リメイク版を観たばかりだが、こうして見比べて観ると狙いが全く違うことが解る。詳しくは後述するとして、原作は言うまでもなく小松左京の大ベストセラーのSF小説、翌年にTVシリーズも作られて僕も観ていた。テーマ曲は五木ひろしが歌っていた(笑)。

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地震学の権威だがアウトサイダーの田所博士(小林桂樹)が小野寺(藤岡弘)の操縦する潜水艇で10000mの海底に潜り、日本海溝の異変に気付き、日本列島が沈むという結論を出す。
 彼の報告を聞いた総理大臣(丹波哲郎)はプロジェクト・チームを対策を練る一方で、博士の真剣さに早めに外国首脳と国民の移住を談判し始める。
 小野寺は海外脱出を決込んだものの、その実行前に事故に遭遇して消息不明になった婚約者(いしだあゆみ)の行方を探し当てる為に人々を救出して行く。

それ以降は日本が沈む様子をパニック映画というより時限サスペンス風に描いている。

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脚本が橋本忍なのでドラマ部分ががっちりとしていて、最初は田所博士が危機を訴える様子、次は総理大臣が懸命に国民を救おうとする努力、そして小野寺が個人的事情から始まったとは言え人々を救うという行為となって、輪唱のように繋がって行くのが見事である。
 しかも、そこに民族大移動することが良いことなのかという民族の尊厳の問題まで絡めて奥深く、サスペンスを重厚なものにしている印象がある。

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一方、予算の問題もあってSFXは当時のハリウッド映画と比べて必ずしも上等とは言えないが、それが作品の価値を下げることにはならない。
 翻って、リメイクは田所の訴えも首相の奔走も原則的に削除、即ち本作終盤の1/3を拡大したような印象で、ドラマ的には殆ど見所がない代りに、優れたヴィジュアルを見せる部分が圧倒的に増えていた。
 オリジナルとリメイクを比べると、SFXは場面を見せる為に必要とされるものであり、CGはそれ自身を見せる為に場面をでっちあげさせる傾向にある、という僕の持説が満更嘘でもないという気がしてくる。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
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良い映画を褒める会。
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日本沈没 1973年版 1973年  森谷司郎 監督  橋本忍 脚本藤岡弘 , 小林桂樹 , 丹波哲郎 ,&nbsp; いしだあゆみ まず冒頭、1万メートルはまだしも、10万メートルだって潜れるって、、、このセリフ、原作にあるのかなぁ、、これ、ゼンゼンいらないでしょ? ... ...続きを見る
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第166回『日本沈没』(1973年版)  今回紹介する作品は小松左京の傑作SF小説を映画化した『日本沈没』です。2005年に『ローレライ』の橋口真嗣監督が草薙剛と柴崎コウを主演に迎えてリメイクもされましたが、今回紹介するのは1973年に制作された方です。 1973年版『日本沈没』は4ヶ月という短期間で制作されていますが ...続きを見る
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●日本沈没(1973) ★★★ 【BS-i】原作は続編もあるらしいけど味読の小松左京。監督は「八甲田山」の森谷司郎。タイトル通り日本が地殻変動で海に水没するまでのドラマ。日本沈没を予言するマッド・サイエンティスト田所博士を小林桂樹が熱演。日本民族の行く末に涙する山本総理に丹波哲郎。大混乱で離ればなれになるカップルに藤岡弘、いしだあゆみ(若い!)。公開当時に観たハズだけど印象に残っていたシーン(巨大ゼンマイが出現とか)が全然なかった。あれはテレビシリーズの方だったのだろうか…?草なぎくんのリメイ... ...続きを見る
ぶーすかヘッドルーム・ブログ版
2008/03/26 10:33

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
オリジナルとリメイク比べると狙いが違うのがよくわかりますね。
民族としての日本人の誇りすら感じさせる力強いドラマに本当にこうなったらどうしたらいいんだろう?と子供にも考えさせるようなサスペンス性。いずれも素晴らしいと思います。
chibisaru
URL
2007/07/17 23:47
chibisaruさん

リメイクはいかにも現在風。
良くも悪しくもCGありきの展開でしたよね。
実は【CGありき】で良いことはないんですけど(笑)。

ただやはり人間は映画を通してドラマを観るのが通例だから、リメイクより本作の方が高く評価されるのは必然ですね。

リメイクのCGは圧倒的に素晴らしく、日本の文化が失われていく絶望感を感じましたが、残念ながら作者の努力と言うより、優れたCGがこちらのイマジネーションを喚起した形。もう少しドラマにも努力を払うべきだったでしょうね。ああいう映画の流れを止める愁嘆場など入れずに。
オカピー
2007/07/18 15:59
リメイク版は未見ですが、やっぱり、あまり評判は良くないようですね。こちらのオリジナル版はリアルタイムで小学生の時に劇場で観ました。めちゃくちゃ怖くて、いしだあゆみがシベリア鉄道に乗って地平線に消えてゆくシーンが印象に残ってます。ちりじりになった日本人のこれからの行く末を思うと暗くなってしまうラストに、ちょっとトラウマになりました^^;)。
ぶーすか
URL
2008/03/26 10:43
ぶーすかさん、こんばんは!

>リメイク版
ハリウッド大作映画の悪い点を思い切り導入し、日本映画の悪い点を思い切り発揮した凡作でした。
断然優秀なCGで採点的には大分挽回しましたが、CGは手段であって目的ではないので、手段で大幅得点UPというわけにも行きませんね。

>トラウマ
あくまで空想小説ですからそんなに難しく考える必要もないのですが、子供なら当然でしょうね。
オカピー
2008/03/26 19:57

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