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zoom RSS 映画評「獄門島」

<<   作成日時 : 2007/05/05 14:27   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1977年日本映画 監督・市川崑
ネタバレあり

市川崑監督=石坂浩二主演の金田一耕助シリーズ第3作。

昭和21年、瀬戸内海に浮ぶ獄門島で本鬼頭(鬼頭本家)と分鬼頭(鬼頭分家)の間がお家騒動でややこしいことになっているが、出征していた本鬼頭の長男が復員船で死亡、分鬼頭の長男が生還するという報を受けて、本鬼頭の頭の足りない三人娘が次々と怪死を遂げる。
 本鬼頭長男死亡の報を住職(佐分利信)に届けに来たのが金田一で、本家と分家の関係を探っている間に最初に殺人事件が起きて島を出られなくなり、そこへ海賊の残党が復員兵姿で島に逃げ込んで来たので捜査は混乱する。

横溝正史の原作をベースに年代順に言えば、これが本シリーズで一番古い事件ということになり、後の「犬神家の一族」と「悪魔の手毬唄」の基礎となるような設定である。従って述べることも大体同じになる(笑)。
 「悪魔の手毬唄」の手毬唄の代りに今度は芭蕉と其角の三句が使われ、釣り鐘のトリックは人間の錯覚が二重に使われていて頗る面白い。放送禁止用語に神経をとがらせているNHKが謎解きの重要部分だけに「気違い」を消去できなかったのはご愁傷様。

画像

テクニック的にも前二作と同じで、ネガポジ反転ではないイラスト化ショット、短いショットの積重ね、奔放なジャンプカット等々、市川崑は縦横無尽・緩急自在に展開している。おどろおどろしさとユーモアの配合が相変わらず絶妙で、テロップの出し方一つにも工夫が見られるのはさすが。

発狂した本家当主(内藤武敏)の面倒を見ながら兄の帰還を待つ分家の娘に大原麗子、今は亡き本家前当主(東野英治郎)に子供時代に拾われた薄幸な女性に司葉子、村長に稲葉義雄、医者に松村達雄、分家後妻に太地喜和子。

画像

さらに、お笑い組として、金田一を留置所に入れてしまうおっちょこちょいな巡査・上條恒彦も良いが、「犬神家」以来の登場となる床屋の娘・坂口良子のコメディリリーフぶりが楽しい。

三作目ともなると、金田一のフケ、加藤武(役名は別)の吹き出す粉薬などルーティンを楽しむことが出来る一方で、新味不足の感もあるので前二作より★一つ落とすが、以前観た時ほど出来栄えに差を感じない。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
オカピーさん、こんばんは。
そう原作的には市川版で一番古く、見立て連続殺人の最初の作品。おっしゃる通り、重要なキーワードが『気ちがい』、これからTVなどでは製作するのが、そして本作も放映が難しいでしょうね。
さて本編ですが、おっしゃるとおりいつもの市川演出、映像いいですね。私は好きです。そしてキャストも、了然和尚や、鬼頭嘉右衛門等の重厚感、迫力のあるキャスティングと上条や坂口などのユーモラスなキャスト、その描き方のバランスも非常にいいですね。工夫を凝らしているテロップも原作の本文通りなんですよね、アレ。
終盤で、勝野を追いつつも、すぐに足を止め、哀しそうな顔で無言で見送る金田一、これが私はたまらないです!
作品の出来はなかなかいいですが、やはり前作『手毬唄』の出来が非常によすぎる為に、その後ということではちょっとキツイ面がありますかね。
では。
イエローストーン
2007/05/06 01:35
イエローストーンさん、こんばんは。

放送禁止用語は、作られた当時のままに放置すべきとは思いますね。それこそが時代を映し出していますし、芸術の価値もそこにあるのですから。
その点NHKは芸術性をないがしろにしていて怪しからんと思います。
本作ではないですが、思いっきり音声を削りながら「芸術性を重んじて最小限の処理に留めさせて戴きました」ですと。「ふざけるな」です。

市川さん、愛称崑ちゃん、お見事です。実はこのシリーズ以外も好きな監督でしてね。演出そのものがルーティンになっていますけどね、このシリーズ。でも上手いものは上手いと言うしかないわけですから。

>哀しそうな顔で無言で見送る金田一
金田一は結局ヒューマニストですし、ある意味人情が濃厚なミステリーですから基本的に犯人はつかまらないんですね。
オカピー
2007/05/06 04:06
どうも!TBありがとうございました。CSやgyaoではカットされずに放送されるのはいいですね。台詞や一部分というよりもそもそもその映画そのものが放送禁止、っていう映画もたくさん埋もれていると思います。

しかし、この作品のトリック(○ちがい)、凄いですね。^^
映画のせかいマスター
2007/05/08 07:37
映画のせかいマスターさん、お久しぶりです。

放送禁止用語が五月蝿くなってきたのは70年代半ばですね。実際には書物の翻訳などにも適用されているので、私の恩師などは大学教授の傍ら翻訳もなさっていたから「困るんだよなあ」と仰っていました。

その点有料放送は基本的にそのまま放映してくれるので有難いですね。
今回はNHK−BS2だったのですが、重要なトリックなのでさすがに音声を消せなかった。ところが翌日の「女王蜂」では二箇所消されていて、一つは【小使い】だったかな。もう一つは全く想像が付きませんでした。

プライバシー等を含めても小難しい時代になったものです。
オカピー
2007/05/08 18:31
またまたこちらにもTBさせて下さい。「●ちがい」がトリックのカギというのは面白かったです。今回、これがちゃんと放送されて嬉しかったですねー。でも‘「女王蜂」では二箇所消され’には気がつきませんでした。
シリーズではこの作品と「病院坂」が一番好きです。特にこちらは殺され方がユニーク。子供の頃に観てすごく恐かったです。大原麗子に告白される金田一のタジタジのシーンは彼女がマドンナで出演した寅さんを思い出して笑ってしまいました。
ぶーすか
2007/05/11 11:33
ぶーすかさん

最初の三本については、今回見比べた結果大差がないように思うようになりましたね。当時は1年に1本のペースで観ていたものですから、どうしても前の作品の印象度が大きくなっていたように思います。一度に見るとその辺りは解消されますね。
それでも当時の気持ちも幾分か取り入れて★一つ分差を付けました。
オカピー
2007/05/12 00:41

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