プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 映画評「ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ」

<<   作成日時 : 2006/10/11 14:42   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 10 / コメント 6

☆☆★(5点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ジョン・ポルスン
ネタバレあり

「シックス・センス」は映画界に二つの問題点を残した。
 一つは、どんでん返しの衝撃により映画の評価を決める傾向を作ったこと。映画の評価は全ての積み重ねにおいて行われるべきであることを強調しておきたい。
 どんでん返しの意外性を除けば「シックス・センス」はそれほどの作品でもなかったと思う。
 もう一つは、その為に主観的描写を客観描写と思わせるインチキが流行し始めてしまったことである。例えば、「シークレット・ウィンドウ」など。

さて、本作はその二つの問題点をそのまま継承しているホラー映画、正確に言えばサイコ・スリラーである。

心理学者ロバート・デニーロの妻エイミー・アーヴィングが突然自殺、そのショックで幼い娘ダコタ・ファニングが殻に閉じこもってしまう。それを解消すべく郊外に引っ越すが、翌日から猫が殺されたり、奇妙な出来事が続く。

というお話で、やがて親しくなった女性エリザベス・シューも死体となって発見され、これに彼の弟子でもある児童心理学者ファムケ・ヤンセンも絡んで来るのだが、デニーロがフラッシュバックするところで<驚愕のどんでん返し>が見えてしまう。
 勿論、結末が見えてしまっても致命的な欠点とは言い切れない。上手く作っていけばそれなりに結末まで観続けることが出来るからである。

しかし、これだけ穴が多いとそういう楽しみを見出すことも難しい。
 まず人物配置が余りにも単純。物理的に犯人は一人しかありえない。
 唐突さを恐れずにフラッシュバックを排除し、デニーロの一挙手一投足だけに伏線を置くという態度が維持できればもう少し興味も続いたはずだが、それを別にしても、芸達者のダコタ嬢の扱いが思わせぶりすぎて気に入らないし、妻・猫・女性の二人と一匹がいずれもバスタブで発見されるというのも些か智恵が足りない。

オープニング・タイトルで父娘の車を追う移動俯瞰撮影を本編に繋げる「フレンジー」のようなカメラワークができたら「なかなかやるな」と思わせたはずだが、それもない。

どんでん返し映画はヒッチコックが嫌ったミステリーと同じで、観客をして結末にしか興味を持たせないので、もはや限界であろう。意外性などありそうもない作品でこそ意外性は意味がある。「シックス・センス」が成功したのは誰もそんな展開を予想していなかったからである。

観ているうちに、ダコタ・ファニングが子役時代の安達祐実、エリザベス・シューがさとう珠緒に見えてきた。余談でした。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(10件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ハイド アンド シーク 暗闇のかくれんぼ
役者として個人的にはもう終わっている 「怠慢三人衆」・・・年齢順にいくと ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2006/10/11 16:50
映画『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』
原題:Hide and Seek 決まって深夜2時6分に目覚める(我に返る)そして謎めいて恐ろしいことが起きている、なにがどうなのか訳の分からないまま、物語は進むサイコスリラー・・ ...続きを見る
茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行...
2006/10/11 17:32
すべては1枚の絵に・・・  ハイド・アンド・シーク  暗闇のかくれんぼ
「ハイド・アンド・シーク  暗闇のかくれんぼ」 2005年 アメリカ ...続きを見る
取手物語〜取手より愛をこめて
2006/10/11 23:34
映画鑑賞感想文『ヴィレッジ』
さるおです。 『THE VILLAGE/ヴィレッジ』を観たよ。 監督は『THE SIXTH SENSE/シックス・センス』『UNBREAKABLE/アンブレイカブル』『SIGNS/サイン』で絶好調のインド人、M・ナイト・シャマラン(M. Night Shyamalan)。 出演は、盲目のアイヴィー役にロン・ハワード(Ron Howa.. ...続きを見る
さるおの日刊ヨタばなし★スターメンバー
2006/10/12 01:36
ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ #653
2005年 アメリカ 102分 サイコサスペンス。名優ロバート・デ・ニーロと天才子役ダコタ・ファニングがずっと出ずっぱりで、SFXバリバリのホラーとは一線を画すような、ねちーっと、じとーっとした展開が続く。サスペンス風の音響や演出はあるものの、2人で飽きさせない展開は.. ...続きを見る
映画のせかい2
2006/10/12 06:51
#524 ハイド・アンド・シーク-暗闇のかくれんぼ-
監督:ジョン・ポルソン 製作:バリー・ジョセフソン 出演者:ロバート・デ・ニーロ 、ダコタ・ファニング 、ファムケ・ヤンセン 、エリザベス・シュー 、エイミー・アービング 、ディラン・ベイカー 、メリッサ・レオ 2005年アメリカ ...続きを見る
風に吹かれて-Blowin' in th...
2006/10/12 23:07
ハイド アンド シーク 〜DVDにて〜
  ハイド アンド シーク・・・評価 4.5 ...続きを見る
三日月のしっぽ。
2006/10/16 13:01
<ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ> 
2005年 アメリカ 102分 原題 Hide and Seek 監督 ジョン・ポルソン 脚本 アリ・シュロスバーグ 撮影 ダリウス・ウォルスキー 音楽 ジョン・オットマン 出演 デヴィッド・キャラウェイ:ロバート・デ・ニーロ    エミリー・キャラウェイ:ダコタ・ファニング    キャサリン:ファムケ・ヤンセン    エリザベス・ヤング:エリザベス・シュー    アリソン・キャラウェイ:エイミー・アーヴィング    ハファティ保安官:ディラン・ベイカー    ロー... ...続きを見る
楽蜻庵別館
2006/10/17 09:56
ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ
2005年制作のアメリカ映画。 全米初登場1位、興行成績$51,046,989。 ロバート・デ・ニーロとダコタ・ファニングの共演によるサスペンス。母親の衝撃的な自殺に心を閉ざした9歳のエミリーのため、心理学者の父・デビッドは静かな郊外の町に移り住む。しかしそこで、エミリーはいるはずのない友達と遊ぶようになり…。 ...続きを見る
シネマ通知表
2006/10/29 22:07
『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』 ('07初鑑賞89・WOWOW)
☆☆★−− (5段階評価で 2.5) 8月18日(土) WOWOWのHV放送を録画で鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2007/08/23 00:44

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
TBさせていただきました。
「シックス〜」は初見の観客のドギモを抜くドンデン返しラストの使命は充分果たしたと思います。
昨今はただそのドギモを抜かれたい(ためにだけ)観客の多いこと、多いこと。サスペンス&スリラーものでビックリ&ドギモ抜かれない作品は彼らにすると「面白くない、ダメな映画」のレッテルを貼るわけです。
そんな映画ばっか観続けているから日本語の行間もよう読めない、理解できない、書けない、恥ずかしさを知らない感想を持つ後世代が増えるのです。
プロフェッサーは仏映画、オドレイ・トトゥ主演の「愛してる、愛してない」ご覧になりましたかしら?
「シックス〜」と同じ轍を踏んでいますが比べてみるのも一興かと。
「ハイド&シーク〜」はドンデン返しの「ド」まで行く間にコケてません?(笑)
viva jiji
2006/10/11 17:10
viva jijiさん
姐さんのコメントは泣かせますね〜。バックアップ有難うございます(泣)。
こういうのを観ると、サスペンスの神様の作った「サイコ」がいかに優れているか解るというものです。インチキをせずにどんでん返しをしました。あの母親を俯瞰で撮ったのもインチキをしたくないが為。口論をしている場面でも声は決してダブらない。初めて観た時は12歳。怖かったなあ。それまで観ていた幽霊映画の全てがぶっ飛びました。

「愛してる、愛してない」は勿論観ましたよ。あれはインチキがありません。トトゥの主観であることが解るように作られています。完全にネタをばらしていますが、UPしましょうか。
オカピー
2006/10/12 00:05
さるおです。

> 一つは、どんでん返しの衝撃により映画の評価を決める傾向を作ったこと。

まったく同感です。この弊害の犠牲になったのが、例えば『フライトプラン』だったと思います(笑)。
素晴らしいレビューっすねー。
さるお
2006/10/12 01:40
さるおさん、こんにちは。
大変嬉しいコメントです。
「シックス・センス」はどんでん返しをおくびに見せず、実行したからうまかった。些か卑怯なショットの扱いもありますが、全体として高く評価されて当然ですね。
「フライトプラン」は未見ですが、覚悟して観ます(笑)。
オカピー
2006/10/12 14:58
再びこんばんは。
どんでん返ししか魅力のない作品も最近多くなってきましたね。
でも、シックスセンスほどの良さが感じられない。

さて、この作品、どう褒めようと一生懸命みたのですが、どうにもこうにも褒めどころがなくてまいってしまったのでした(^o^;
唯一、ダコちゃんの「チャーリー!チャーリー!チャーリー!!」という絶叫だけが病的で怖かったというところくらいかしら(笑)

最後にダコちゃんが描いていた絵の中に、チャーリーがいたらホラーな仕上がりになってよかったかも・・・・
chibisaru
2006/10/12 23:14
chibisaruさん、再びこんばんは(笑)。

本文でも多少触れましたが、どんでん返しばかりに眼目を置くから、話が限定的になってこういう体たらくになってしまう。もうどんでん返しは結構です、はい(笑)。
褒めるとしたら撮影ですかね。

役者で顔を呼べると言ってもデニーロは適材適所じゃないでしょう。老骨に鞭打っても100mに30秒はかかる。チャーリーは相当動きが早いはずですよ。
オカピー
2006/10/13 01:01

コメントする help

ニックネーム
本 文