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zoom RSS 映画評「知りすぎていた男」

<<   作成日時 : 2006/03/12 13:59   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1956年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり

アルフレッド・ヒッチコック第43作。1934年に作った第17作「暗殺者の家」のセルフ・リメイクである。

元歌手の妻ドリス・デイと息子とでモロッコを旅していた医師ジェームズ・スチュワートが、フランス人ダニエル・ジェランと知り合ったことで、ロンドンを舞台に計画されている某国首相の暗殺計画に巻き込まれる。

ヒッチコックお得意の<巻き込まれ型>サスペンスだが、ジェランが殺される場面が最初の見せ場で、顔に塗った染め粉が落ちて白い指の跡が付くアイデアが優秀。
 最初の見せ場まで他の秀作同様およそ30分掛けているが、この伏線部分は「ダイヤルMを廻せ」「裏窓」「鳥」などに比べるとやや劣る。

それ以降は剥製屋のドタバタなどでゲラゲラ笑わせながらもスリル満点で、この時代の諸作中で最も大衆的に作られた一編と言え、シンバルを暗殺の合図としたサスペンスで最高潮に達する。暗殺場面はくどい程徹底したもので、クローズアップとロングショットの自由自在な組合せにより超弩級。

しかし、最後の息子救出の長い一幕は、余分とまでは言わないまでも、クライマックスの後だけに過剰サービスといった印象が強く、ヒッチコッキアンを自認する僕の胃ももたれてくる。決着の付け方もアイデア不足ではないか。

ジミーはご贔屓の男優で、いつも通りの飄々とした演技が楽しいが、ドリス・デイがメリハリの利いた演技で実に素晴らしいのだ。序盤のコメディレリーフ的な扱いから悲劇の母親像に移調し、終盤の活躍・・・女優としても実に多くの作品に出演実績のある彼女のベスト・パフォーマンスと思う。

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知りすぎていた男 1956年/アメリカ【DVD鑑賞43】
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良い映画を褒める会。
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風に吹かれて-Blowin' in th...
2006/04/04 09:26
知りすぎていた男
知りすぎていた男 ...続きを見る
cino
2007/06/07 22:07
知りすぎていた男
    = 『知りすぎていた男』  (1956) = ...続きを見る
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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
親子愛ですよね〜。内容は忘れないですが何度も観てしまう一本です。
かよちーの
2006/03/12 18:04
TBありがとうございました。ラストの救出劇は”歌手”ドリス・デイの為に用意したシーンなんでしょうかね。彼女の歌うケセラセラは魅力的でした。
FROST
2006/03/12 19:05
>かよちーのさん、こんばんは。
映画館で観た時は、剥製屋のドタバタが妙に印象に残りましたよ。店の人間がカジキをもってうろちょろ。
ドリス・デイの悲劇の母親が良くて、知らないうちに活躍してしまうのがヒッチコックらしいです。「ケ・セラ・セラ」とは行かないのが親の心。

>FROSTさん、どう致しまして。
「暗殺者の家」では、母親は確か射撃の名人でしたよね。ドリス・デイ主演ということで、恐らく元歌手という設定にして、最後の場面に歌を利用したのでしょうが、アイデアそのものはともかく、その前の暗殺場面と重ねるともたれてきます。もう少しあっさりと処理したほうが良かったと思います。
オカピー
2006/03/13 01:22
おはようございます。
あのコンサートシーンはひっぱるなぁ・・・と思いつつも「いったいどうするの?どうなるの???」とかなりハラハラさせてもらいました。「いつシンバルが鳴るのよーーーーー!」ってドキドキしちゃって(笑)
剥製屋のドタバタでクスクス、ラストの部屋で待ってた友人たちにクスっと笑っちゃった。剥製屋で剥製かかえて逃げ回ってるのなんかとてもコミカルでライオンに手までかまれて(笑)
今思い出しても楽しいシーンです。

こちらからもTBさせていただきますね♪
chibisaru
2006/04/04 09:30
chibisaruさん、こんばんは。
ヒッチコックはあのコンサートの場面を撮り直したくてリメイクを作ったようですね。だから相当力が入っています。
剥製屋の場面は私もお気に入りで、カジキマグロが結構好きです(^^)v
映画館で観た時こればかり印象に残ってしまいました(笑)。
オカピー
2006/04/04 20:55
オカピーさん、今晩は。
私だったら予行演習で10回聴かされても「このシンバルの時に射つんだよ」とレコード鳴らされても解りませ〜ん。はい。
あの狙撃者、私よりクラシック得意とは見えませんでした(笑)。
オンリー・ザ・ロンリー
2008/09/02 21:57
オンリー・ザ・ロンリーさん、こんばんは。

>シンバル
これは典型的な「映画の嘘」じゃないでしょうか。
ただ、これは「観客が知っているが為に感じる真のサスペンス」を理解する上で最も素晴らしい教科書ではないかと思っております。
お感じになっているかもしれませんが、最近は本当のサスペンスがありません。情報を与えずに作れるショックばかりで全くつまらんです。

恐らく、ヒッチコックにとって一番大事なリアリティは、人間の行動に関するもの(行動心理学)です。彼はそれ以外は「映画の嘘」はあっても良いと思っているようですよ。
オカピー
2008/09/03 01:04

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